原作だけにしかない物語

ルドルフともだちひとりだちの『いくねこ、くるねこ』

2016/08/03

『ルドルフといくねこくるねこ』は、原作者、斎藤洋さんの”ルドルフとイッパイアッテナ”シリーズの第3作目の作品です。

ちなみに映画や映画ノベライズ版のもとになっているのは、第1作目の”ルドルフとイッパイアッテナ”と第2作目の”ルドルフともだちひとりだち”の2つです。

第3作目の『ルドルフといくねこくるねこ』の伏線になるエピソードは、第2作目の”ルドルフともだちひとりだち”で紹介されています。でも、残念なことに映画ではこのシーンは出てきません。

デビルをやっつけたルドルフが、誰かにアトをつけられた!

出典:映画『ルドルフとイッパイアッテナ』公式サイト

出典:映画『ルドルフとイッパイアッテナ』公式サイト

 

デビルをやっつけたアトのある日のこと、ルドルフはブッチーと2人で、デビルの家の隣に建ちはじめた大きな家の見物に行きました。むき出しの太い柱が”つめとぎ”に良さそうなことを発見して、その帰り道のことです。

どうもいやな感じがすると思ったのは、ブッチーとわかれて2,3分歩いたころだった。へんな気配がするのだ。だれかに見られているような、あとをつけられているような、そんな感じだ。

さすが、ネコちゃんです。気配を察することができる!

なにかへんだとか、どうもようすがおかしいという気がしたら、じゅうぶんに注意しなければならない。そういう動物的なカンというのは、けっこう当たるそうだ。

って、十分に動物ですから。ルドルフの感覚は人間に近いのかも。

ぼくは歩きながら、もう一度あたりを見まわした。
いた!あれだ。
道路の反対がわに駐車場がある。青いライトバンが1台とまっている。その下にねこが1ぴき、うずくまって、こっちをうかがっている。
1ぴきだけか。いや、となりの車の下にもう1ぴきいる。

ルドルフは気づかないふりをして、イッパイアッテナが待つ神社へと帰りました。

なぜ、ルドルフはアトをつけられたのか?

「ルド。おまえつけられてるな。」

なぜわかった、イッパイアッテナ!!ここら辺は時代劇さながらです。こんな達人のような感覚を持ち合わせてみたいと常々思います。

「てめえ、ブルドッグとわたりあって、勝ったことがあるか。」
ぼくはうなずいた。
「やっぱりそうか。おれたちゃな、川のむこうのドラゴン兄弟だ。おれはジャック。ここにいるのがテリーだ。もうひとり、ブラッドっていう兄貴がいる。」

どうやら、雲行きが怪しいようで・・大丈夫、イッパイアッテナがすぐそばにいます。

「そこの小学校のグラウンドまで、ちょっと顔かしてほしいんだがよ。うちの兄貴がな、おめえにあいさつがしてえっていってんだ。」
「あいさつ?」
「そうさ。いやなら、こなくったってかまわねえぜ。そのかわり、てめえのシマをそっくりおいて、いますぐこの町を出ていきな。」
「シマ?」
シマってなんだろう。あいさつとかシマとか、なにいってんだろう、こいつら。
「さっさとシマおいて、出ていきゃあ、命だけは助けてやろうってこった。」

ノラの縄張り争いも大変です。どうする、イッパイアッテナ?

そのしゃくりあげた鼻をもとにもどさないうちだった。
それまでねていたイッパイアッテナがいきなり立ちあがり、あっというまもあらばこそ、目にもとまらぬはやさで、3メートルもジャンプしただろうか。
着地したときには、ジャックは、イッパイアッテナのパンチを受けて、地面にたおれてうなっていた。

さすが、イッパイアッテナ。筋金入りの強さです。

つきとばされたテリーは、石のとうろうのかどに頭をしたたかにうちつけ、口からあわをふいてのびてしまった。
ジャックは、イッパイアッテナのうでの中でしばらくもがいていたが、しばらくすると、ガクリと肩が落ちた。きぜつしたのだ。

このあと、イッパイアッテナが啖呵を切ります。水戸黄門の印籠シーンみたいでスカッとします。

「おおかた市川か松戸あたりの農家の飼いねこだろうが、橋わたって、こんなところまでつっぱってくるんじゃねえ。江戸川からこっちは、このタイガーさまのシマだって、きいたこたあねえのか。」
「えーっ!タイガーだって!」
ジャックはかなりおどろいたようだった。
「だ、だってステトラ、いや、タイガーさんはブルドッグにかまれて死んだっていううわさじゃ・・」

イッパイアッテナが死んだと思った、チンピラノラ猫が勢力拡大をはかったというお話でした。

『いくねこくるねこ』は、ルドルフのある思いからつけられた!

出典:映画『ルドルフとイッパイアッテナ』公式サイト

出典:映画『ルドルフとイッパイアッテナ』公式サイト

 

ルドルフは、イッパイアッテナが寝っころがった隣でこんな風に思うんです。

それにしても世の中にはいろんなネコがいるもんだ、ブッチーみたいに線路のむこうまで女の子に会いにいくねこがいるかと思えば、さっき来た奴みたいに、わざわざ川をこえて、けんかをしにくるのもいる。ぼくだって、遠い岐阜からやってきちゃったけど・・

ルドルフとイッパイアッテナの第3作目『ルドルフといくねこくるねこ』の題名からは、何のお話が想像がつきませんが、第2作目の『ルドルフともだちひとりだち』に伏線があったのです。

感想

それにしてもイッパイアッテナは強い!胸のすくような活躍です。デビルには不意打ちをくらって、やられてしまいましたが、一騎打ちならどちらが強いのか?作者の斎藤洋さんでもわからないかもしれません。下手に勝負させたら、子どもの夢を壊すことになってしまいそうです。

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